物価高騰、人材不足、そして賃上げの圧力───。コロナ禍以降、特に逆風が吹き荒れる介護業界において、多くの介護事業者が経営状況に頭を悩ませているのが現状です。現在、国では2027年度(令和9年度)の介護保険制度改正に向けた議論が、異例の早さでスタートしていますが、これは、国も介護事業や介護保険制度の未来を大きく憂慮していることの証明と言えます。本記事では、全国で介護経営コンサルティングを手掛ける小濱介護経営事務所 代表の小濱道博氏をお招きしたウェビナー「介護報酬制度改正審議の動向と新時代の黒字化経営戦略」の内容をレポート。最新の制度動向と、これからの時代を生き抜くための「財務戦略」について解説します。【登壇者紹介】小濱 道博(こはま みちひろ)小濱介護経営事務所 代表一般社団法人ケア・ダイバーシティ・ラボ 代表理事介護経営コンサルタントとして40年以上にわたり活躍。多くの医療法人、社会福祉法人、営利法人での経営コンサルティングの経験を持ち、講演セミナーの実施は年間最多で300件と国内でもトップクラスの実績を誇る。著書:「令和6年度介護報酬改定対応 運営指導はこれでOK!おさえておきたい算定要件【通所介護編】」「そのまま使える〈スッキリ図解〉介護・障害福祉BCP」など、他多数。現在、介護経営を取り巻く「三つの壁」2027年に介護保険制度の改正が控えていますが、まず認識しなければならないのは、介護事業所の経営を圧迫している「三つの壁」です。小濱氏は、これらのコストや不確実性が、黒字化を阻んでいる現状を指摘します。近年の不安定な国際情勢や円安などの様々な要因により、水道光熱費、食材費、ガソリン代の上昇が続いている他、賃上げの圧力も存在します。最低賃金は毎年引き上げが行われますが、介護報酬の改定は3年ごとになるので、構造上タイムラグが起こり、事業所側の持ち出しになっている現実があります。また、慢性的な人手不足の中で、事業所によっては、人を募集するにもより経費がかかってしまっている状況です。国の議論を加速させる「2040年問題」このように、既に介護経営に於いて課題が表層化している中、国は通常よりも4ヶ月も早い2024年12月から、次期制度改正(2027年度)に向けた議論をスタートさせました。国がこれほど議論を急ぐ背景には、足元の課題以上に深刻視している2040年問題があるからです。一般的に2040年問題というと「団塊ジュニア世代が65歳になること」と思われがちですが、小濱氏は「65歳はまだ元気。本当の問題はそこではない」と言います。「本当の危機は、85歳以上の人口がピークを迎える点にあります。これからの15年間、医療・介護ニーズが最も高い85歳以上の人口が増え続けるのです」(小濱氏)現在、既に疲弊している介護業界に対し、「爆発的な利用者増加」という巨大な波が迫っています。さらに、2040年時点で、介護職員だけで約57万人が不足するという推計も出ています。また、利用者が爆発的に増加すれば、社会保障費も爆増することになります。国は、このピーク時までに社会保障制度を持続可能な形に作り変えなければならないという強い危機感を持っています。そのため、「論点が多岐にわたる」として議論を前倒しし、痛みを伴う改革を含めたシビアな検討を進めているのです。2027年度改正、経営を揺るがす「主要論点」現在審議されている内容の中で、特に核心となっている大きい論点について、小濱氏が解説をします。 利用者負担「2割」の対象拡大現在、介護保険利用者の自己負担が2割となるのは所得上位約20%の層ですが、これを医療保険並みの「上位30%」まで拡大する議論が進んでいます。 これが実現すれば、今まで1割負担だった層が2割負担になり、支払額が倍増します。これによる影響として、利用控え(サービス回数の減少)や、支払い能力の低下による未収金リスクの増大を小濱氏は指摘します。特に老人ホームなどの施設に於いては、滞納が重なることで、数百万円規模の未収金となる可能性もあり、資金繰りへの大きな影響が危惧されます。ケアマネジャー制度の改革と有料化深刻なケアマネ不足に対応するため、受験要件の緩和や更新研修の廃止(毎年の研修受講への切り替え)が検討されています。また、長年の懸案である「ケアプラン有料化」も再燃しており、定額制(例:月額1,000円など)の導入も現実味を帯びています。過疎地での規制緩和と「制度の複雑化」この点が議論の中心となっていると小濱氏は言います。去年の時点で訪問介護事業所が一つもない自治体が107地域と増加していることを受け、過疎地(中山間・人口減少地域)では、特養職員による訪問サービス提供や、職種の兼務などの規制緩和が検討されています。一見、柔軟な対応に見えますが、「地域ごとにルールが異なる」ことになり、制度がより複雑化・煩雑化する恐れがあります。制度改正の恩恵を受けるための「ICT活用」上記の論点の中で、特に過疎地対策などの「規制緩和」を受けるためには、重要な条件をクリアする必要があると見込まれています。それが「ICT・テクノロジーの導入」です。小濱氏は、地域(過疎地・都市部)によって異なる「ICTの必要性」について以下のように解説しています。過疎地:規制緩和とICTは「セット」である人手不足が深刻な過疎地対策として、訪問介護と通所介護の職員の兼務や、行政委託といった規制緩和が議論されていますが、小濱氏は「ICT化が前提条件」ということを強調しています。「国は『ただ人がいないだけではダメだ』と言っています。ICTやAIを使って、人がいない分をきちんと賄うこと。その体制があることを前提条件として、規制緩和や特例を認めると言っているのです」(小濱氏)つまり、ICT投資をしていない事業所は、こうした人員基準の緩和や特例措置の対象から外される可能性があるということです。都市部:必須化する「介護DX」と行政手続き一方、都市部や一般市においてもICTは大きな課題となっています。それが「介護DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。現在、指定申請や更新手続きなどの行政手続きはすべて「電子申請」への一本化が進められています。さらに、国は「介護情報基盤」を整備し、医療情報やケアプランデータ、LIFEなどのデータ連携を進めています。これらが進むことにより、パソコンやネット環境が事実上必須となります。「申請手続きはパソコンやネット環境がなければできなくなりますし、介護情報基盤事業で色々な情報が共有されるということはパソコン・タブレットが今まで以上に必要になります。(中略)設備投資をしていかないと、これから仕事ができない環境に変わっていきます」(小濱氏)重くのしかかる「設備投資」の壁このように、これからの介護経営にはICT化(PC・タブレット、見守りセンサー、インカム、記録ソフト等)が必須になると言えます。これにはまとまった「設備投資」が必要ですが、小濱氏は介護経営の抱える本音についても言及します。「投資の必要性はわかっているよ、でも法人として、会社としてお金がないんだという問題ですよね。(中略)こんな不満を感じていらっしゃる経営者の方はとても多いと思います」(小濱氏)ICT化は補助金も存在していますが、食事の改善費用や賃上げ圧力、人手不足による募集費用も嵩む中で、それだけでは資金が全然足りていないという現実が立ちはだかります。国が推奨する「小規模事業所の協働化」は救世主となるか?そうした厳しい経営状況の介護事業所が多い中で、国が小規模事業所の生き残り策として進めているのが「事業者共同グループ化(連携・協働化)」です。これは、地域にある4〜10箇所の小規模事業所がグループを組み、採用や研修、間接業務などを共同で行うことで「スケールメリット」を得ようという構想です。確かに、共同採用や研修の一本化ができればコスト削減につながるように見えます。しかし、小濱氏はその運用の難しさについて警鐘を鳴らします。「口で言うのは簡単ですが、構築するためには規定の作成、代表者の選定、会計担当の設置、月1回の定例会、会計監査など、膨大な手間がかかります。会費の徴収も必要です。 結果として、事業者様の負担になっていく、これも現実ですよね」(小濱氏)国が推奨している「協働化」に乗るにしても、それを維持・管理するための体力、資金と労力がなければ、かえって経営を圧迫しかねません。介護事業特有の資金繰り:入金サイトの壁ここで浮き彫りになるのが、どの対策を取るにしても先立つもの(資金)が必要ということです。ですが、介護事業特有の「サービス提供から入金まで約2ヶ月がかかる」という入金サイトは、キャッシュフローの大きな負担となっている問題があります。入金までの「2ヶ月」が命取りになる介護報酬の仕組み上、サービス提供から入金までには約2ヶ月のタイムラグがあります。一方で、人件費や経費の支払いは毎月発生するため、手元の運転資金が潤沢でないと、常に資金繰りに追われることになります。稼働率が上がった時にこそ「パンク」する小濱氏は、経営状態が良くなった時こそが危険だと警告します。「例えば、利用者様が増えて稼働率が上がりました。忙しくなったから人を採用したり、送迎が大変になったから送迎車を1台追加したりしますよね。 稼働が増えれば、色んな経費が増えるわけです。でも、増えた売上が入金されるのは『2ヶ月後』。 このタイムラグの中で、稼働が一気に拡大した時に起こり得るのがパンク、いわゆる黒字倒産なんです」(小濱氏)さらに大変なのが、支払いのタイミングが重なるケースです。例えば、源泉所得税の納期特例(半年払い)や、賞与の支払いは一般的に6月と12月に集中します。「支払いが嵩む6月や12月、この前後に稼働が上がると本当に大変な状況になってしまう。手元に運転資金がなければ、利益は出ているのに資金ショートしてしまう。こういったことも起こり得るのです」(小濱氏)処遇改善加算や支援補助金による一時的な負担増2025年12月から、国は介護職の賃金を月1万円上げる方針を決めました。また、2026年の4月からは処遇改善加算の加算率が引き上げられる可能性が高いです。国からの「支援補助金」や「処遇改善加算」はポジティブなニュースですが、運営上の課題となるのが、入金までのタイムラグです。 こういった支援金や補助金などは、基本的に「償還払い(後払い)」です。国からお金が入ってくる前に、まずは事業所が手元の現金で職員に支払わなければなりません。「補助金が出るのはいい、処遇改善加算が上がるのはいい、でも持ち出しになる可能性があるんです。ICTの補助金もそうですよね。お金を先に払ってください、その実績で請求してください。 支払いのタイミングが重なってしまった時には、資金ショートのリスクが出てくるということです」(小濱氏)国保連に眠る現金を活用する。苦しい資金繰りの解決策となる「ファクタリング」入金サイトの壁や補助金の持ち出し負担、また、未収金のリスク——。これらのキャッシュフロー課題を解決し、攻めの経営に転じるために小濱氏が提言するのが、「ファクタリング(早期資金化)」の活用です。ファクタリングとは、国保連に対して持っている「介護報酬債権(入金を予定している債権)」を買い取ってもらい、本来の入金日よりも早く現金化する仕組みです。眠っている1ヶ月分の資産を運転資金に使う多くの介護事業所にとって資金不足は悩みの種ですが、サービス提供から入金まで約2ヶ月がかかる入金サイトは、自社の資産が「滞留している状態」と言えます。 「例えば、300万円を請求しているデイサービスなら、倍の600万円。3,000万円の介護施設なら、6,000万円が、国保連に残っているわけです。 このうち、1ヶ月分が早く入ってきたら、運転資金に使うことができますよね」(小濱氏)入金待ちの300万円や3,000万円。この眠っているお金を早期に資金化し、「人材確保」「ICT導入」「賃上げ」といった成長投資に回すことができる。これがファクタリングの大きな意義となります。ファクタリングは「借金」ではなく「確定した売上」の活用資金調達というと銀行融資(借入)がイメージされがちですが、ファクタリングは融資とは違い、借金ではありません。「お金を借りてしまったら、返さなきゃいけません。でもファクタリングはお金を1月早くもらうだけなので、お金を借りてるわけじゃありません。 この請求は確定しているものですから」(小濱氏)眠っている債権を呼び起こし、必要なタイミングで投資に回す。この「資金の流動化」が、介護事業の厳しい局面を生き抜くための黒字化経営戦略です。「銀行からお金を借りようとしても数ヶ月かかります。キャッシュフローを根本的に変化させるというところで、方法を考えなくてはいけない。(中略)行動はすぐ起こさないと、お金が1円でもないと返済できなくなるわけですから、皆様方でご検討いただく時が来ると思います」(小濱氏)【Q&A】小濱氏に聞く、現場の悩みと「勝ち残るためのヒント」最後に、ウェビナーの質疑応答で寄せられた、ICT導入の具体的な進め方や、厳しい時代を生き抜くためのマインドセットについて紹介します。Q1. 失敗しないICT導入・業務効率化のポイントは?A. 「現場主導」と「外部の活用」を使い分けることです。ICT導入の目的は、職員の業務負担を減らし、生まれた空き時間を利用者へのケアに充てることです。トップダウンで導入を決めると、現場から「使いにくい」「こんなものいらない」と反発を招き、必ず失敗します。「必ず現場の職員を委員会に入れ、彼らが『これなら楽になる』と選んだものを導入してください。自分たちで決めたことであれば定着します」一方で、現状分析やツール選定などの専門外のプロセスについては、職員だけで議論しても結論が出ないことが多いです。「ここには外部コンサルタント等の『第三者』に入ってもらい、ノウハウを活用して短期間で結論を出す方が効率的です」Q2. 介護業界で生き残る事業所に共通する特徴は?A. 逆境をバネにする「前向きさ(プラス思考)」です。どんなに優秀な経営者でも、経営には波があります。重要なのは、落ち込んだ時の捉え方です。「成功している方は、落ち込んだ時こそ『これがバネになって次は上に伸びるんだ』と考えます。メンタルが弱い方はそこで沈んでしまいますが、過去の経験を糧に『戻る道』を知っていれば頑張れるのです」また、誰と付き合うかも経営を左右します。「周りがマイナス発想の方ばかりだと引き込まれてしまいます。プラス発想の方と付き合うようにし、マイナス発想の方とは縁を切るくらいの覚悟が大事です」ウェビナーまとめ2027年の制度改正、そして2040年問題とあるように、介護経営の厳しさは年々上がっています。 協働化やICT化など、やるべき対策は山積みですが、小濱氏が語るように、成功する事業所に共通するのは「前向きな変化(投資)」と「リスクへの備え」です。「売上はあるのに現金がない」という状況を脱し、必要な投資(人・物・DX)にお金を回すことができるかどうかが、これからの生き残りを左右します。借入に頼らず、自社の債権を有効活用してキャッシュフローを改善する「ファクタリング」。 次なる成長のための戦略として、是非ご検討ください。医療・介護特化型ファクタリング「メドレー早期資金サポート」のご紹介株式会社メドレーフィナンシャルサービスが提供する「メドレー早期資金サポート」は、医療・介護・障害福祉事業所に特化したファクタリングサービスです。特徴1.最安水準の手数料ジョブメドレーをはじめとする、メドレーグループのサービス利用実績があれば、割引手数料が最安0.3%〜と非常にリーズナブル。「ファクタリング=高い」というイメージもありますが、メドレー早期資金サポートでは、東証プライム上場をしているメドレーの豊富な資金調達力を背景に安価な手数料を実現しています。特徴2.スピーディーな送金対応必要書類のご提出から、おおよそ1週間ほどでご送金が可能です。(最短3日の取引実績)割引手数料が高額な2者間ファクタリングでは、「即日送金」といった広告を見かけることもありますが、低コストな3者間ファクタリングを提供する会社のなかでは、非常にスピーディーな送金対応が可能です。特徴3.初めてでも安心の電話サポート「Webだけではよく分からないし、不安...」という場合には、オペレーターがお電話にて丁寧に説明をいたします。ご送金までにスケジュールやお手続き方法、具体的な調達可能額や手数料額など、なんでもお気軽にお問い合わせください。また、経営に関するお悩みなどがある場合には経験豊富なコンサルタントがご相談に伺います。特徴4.買取金額の制限なし数十万円〜数億円単位まで、金額に制限なく買取が可能です。そのため、開業直後で手元資金に余裕が欲しい場合や、大規模な設備投資をご検討中の場合など、様々なシーンで柔軟にご活用いただけます。また、事業実績によっては将来発生する見込みの請求分の買取や、他のファクタリング会社からの乗り換えや買い増しも可能です。まずは、ご相談だけでも構いません。是非お気軽にお問い合わせください。%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Fwww.medley-fs.co.jp%2Fcontact%22%20target%3D%22_blank%22%3E%0A%3Cdiv%20style%3D%22text-align%3Acenter%3B%22%3E%0A%3Cdiv%20style%3D%22font-family%3A%20'Noto%20Sans%20JP'%2C%20'Arial'%2C%20sans-serif%3B%20display%3A%20inline-block%3B%20text-align%3Acenter%3B%20background-color%3A%23d50819%3B%20color%3Awhite%3B%20padding%3A%2024px%20%2024px%3B%20border-radius%3A%2080px%3B%20font-size%3A%201.2em%3B%20width%3A%20270px%3B%20align-items%3A%20center%3B%22%20onMouseOut%3D%22this.style.background%3D'%23d50819'%3B%22%20onMouseOver%3D%22this.style.background%3D'%23EF1D2E'%22%3E%0A%3Cspan%20style%3D%22display%3A%20block%3B%20font-size%3A%2014px%3B%22%3E%5C%2024%E6%99%82%E9%96%93%E3%80%81%E7%84%A1%E6%96%99%E3%81%A7%E5%8F%97%E4%BB%98%E3%81%91%E4%B8%AD%20%2F%3C%2Fspan%3E%0A%3Cspan%20style%3D%22display%3A%20block%3B%20font-size%3A%2020px%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%22%3EWeb%E3%81%8B%E3%82%89%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3E%0A%3C%2Fdiv%3E%0A%3C%2Fa%3E